AI MEDIA

動画を放り込んだら、AI編集部はどこまで記事を作れるのか。

動画を一本入れれば、AIが内容を読み、スクリーンショットを選び、記事を書いてくれる。

言葉にすると、それほど難しい仕組みには聞こえない。動画をAPIへ渡し、文章を返してもらえば終わりそうだ。僕も最初はそう考えていた。

実際にAI Media Studioへ動画を入れてみると、文章が出るまでより、その文章を信用できる状態にするまでの方が長かった。今回は、動画が記事候補になり、人間の承認を待つところまでを追ってみる。

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入口は、動画を置く場所だけにした

制作の入口はInboxだ。画面収録や動画をドラッグ&ドロップすると、素材が保管場所へコピーされ、処理対象として認識される。

AI Media StudioのInbox画面
動画を受け取るInbox。制作フローの入口を一つにした。

ここで重要なのは、アップロード画面を豪華にすることではない。人間が「この動画を記事にしたい」と判断した後、迷わず処理を始められることだった。

以前はFinderで動画を探し、コピー先を確認し、コマンドを実行し、ログを見る必要があった。操作が少しずつ分散しているだけでも、毎回やると面倒になる。Inboxは、その面倒を一つの動作へ押し込めるための入口である。

動画を記事素材へ分解する

動画を受け取ると、AI Media Studioはプロジェクトを作る。元動画の情報を調べ、代表サムネイルを生成し、記事で使えそうな場面をスクリーンショットとして抽出する。

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文章を直接生成する前に、まず素材を分解する。これは回り道に見えるが、後から記事を直すときに効いてくる。文章に違和感があれば元動画へ戻れる。説明に画像が必要なら抽出済みの画面を確認できる。AIが何を根拠にしたのか、人間が追える。

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サムネイルが表示されたProjects画面
各プロジェクトに代表画像が並ぶ。名前だけの一覧より、元動画を判別しやすい。

サムネイルも最初からあったわけではない。プロジェクト名と状態だけの一覧は、数件なら読める。しかし画面収録が十数件に増えると、文字列だけでは見分けられなくなった。そこでffmpegで代表フレームを作り、既存プロジェクトには後から一括生成した。

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文章一枚では、レビューできなかった

Markdownが生成されると、最初は達成感がある。見出しがあり、段落があり、それらしい結論もある。ただし、それらしいことと正しいことは別だ。

画面操作の記事なら、説明とスクリーンショットが対応しているか確認しなければならない。個人情報や過去の会話履歴が写っていないかも見る必要がある。元動画のファイル名、解像度、再生時間も確認したい。

Article Images Sourceタブを備えたAI Media Studioの記事画面
Article、Images、Sourceを切り替え、文章・画像・元動画を同じプロジェクトで確認する。

そのため、レビュー画面をArticle、Images、Sourceの三つに分けた。ArticleではMarkdownを読み、必要なら編集する。Imagesでは抽出された全画像を確認する。Sourceでは元動画の情報を見る。

AIが記事を書いた後、人間が見るべきものを一か所へ集めた形だ。生成ボタンより、こちらの方が実際の運用では重要だった。

自動化は、きれいには進まない

もちろん、動画を入れた瞬間からすべてが順調に動いたわけではない。

macOSのGUIアプリはターミナルのPATHを引き継がず、実機にあるffmpegが見つからなかった。サムネイル生成を実装しても、APIとSwiftUIの境界が合わず、一枚も表示されないことがあった。既存データへの生成は実機でbackfillを実行した。

サムネイルが表示されていなかったReview Queue画面
実装済みのはずなのに、実機ではサムネイルが一枚も見えなかった。

さらに、情報を右側へ足し続けると本文が細くなった。画像一覧を本文の上へ置くと画面全体が崩れ、タブ化した直後にはコンテンツが真っ白になった。

タブ化後に真っ白になったAI Media Studio
タブ化の途中で、ウィンドウだけが残り内容が描画されなくなった。

テストが通ったことと、実機で使えることは同じではない。AIはコードを速く書けるが、古いアプリを起動していないか、Google Driveが同期しているか、画面が窮屈に感じないかまでは勝手に保証してくれない。

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AIが作るのは、完成品ではなく判断材料

現在の流れでは、AI Media Studioが動画を受け取り、素材を整理し、スクリーンショットを抽出し、Markdownの下書きを作る。そこから人間がArticle、Images、Sourceを見比べ、修正するか、再生成するか、却下するか、承認するかを決める。

つまり、自動化されたのは「公開」ではない。公開するための判断材料を揃えるところまでだ。

これは期待より控えめな結論に見えるかもしれない。しかし、文章だけを自動生成していたときより、はるかに実用的だった。人間が毎回ゼロから動画を見返す必要はない。一方で、AIの出力を無条件に信じる必要もない。

動画一本から、記事一本まで

動画を放り込めば、AI編集部は記事の完成直前まで進める。素材を分け、画像を並べ、下書きを作り、確認すべき場所を人間へ渡す。

最後の承認だけは、まだ人間の仕事だ。そして今のところ、そこは無理に自動化しなくていいと思っている。

記事制作で重かったのは、文章を書く行為だけではなかった。素材を探し、画面を切り出し、根拠を確認し、公開してよいか判断することだった。AI Media Studioが目指しているのは、人間を編集部から追い出すことではない。その手前に散らばっていた作業を、一つのデスクへ戻すことである。

動画一本を入れて、記事一本を確認できるところまで来た。次に試すべきなのは、この流れを一本だけでなく、十本、五十本と続けても破綻しないかどうかだ。

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